(2014.08.06 14:23 by CCP Fozzie)
(※本記事は、原文の全体を訳しているわけではなく、また、ところにより大幅に意訳となっています)
本題に入る前に・・・
プレイヤー間にみられる誤解について : ワームホールの現状を CCP がどう認識しているか
ご存じのとおり、ワームホールを実装した当初、CCP としてはそこにプレイヤーが定住することは想定していなかった。とは言え、プレイヤーが開発側の想定をあっさり踏み越え、ワームホールにおける独自の定住型ゲームプレイを編み出したことを CCP としては喜ばしく思っている。ゆえに、一部のプレイヤー間で言われているような、プレイヤーをワームホールから追い出してしまおうなどという意図は開発側にはいっさいないので、その点を勘違いしないようにしてほしい。
では本題・・・
Hyperion でなにを行うか
今回の調整における目標は以下のとおり :
- ワームホールのメカニクスにもっとバラエティーをもたせ、もっとワクワクできるものにする
- プレイヤーが、ワームホールの 「ランダム性」 や 「神秘性」 といった要素と従来以上に全面的に対峙できるようにし、ワームホールメカニクスを 「飼い慣らし」 たり支配したりしようとする傾向に若干の歯止めをかける
- ワームホールエフェクト間の不均衡を是正する
- ワームホールクラス間の不均衡を是正する
具体的には :
- ワームホールエフェクトのバランスを調整
- C4 ワームホールに第二のスタティックを追加
- ランダム穴を増量
- 船が穴を通過した際の出口側での穴からのポップ距離を、その船の質量に応じたものにする
- K162 は、船が通過して初めて視認できるようになる
- ブックマークコピーに関する制限を緩める
ワームホールエフェクトのバランス調整
概要 :
- Black Hole エフェクトのワームホールが圧倒的に不人気となっているため、これの対処を急務とする
- 他のエフェクトについても、特徴を際立たせ、かつ、他のエフェクトとのバランスを維持できるよう変更を加える
- ワームホールのクラスが変わるにしたがってエフェクト量も変化するが、その変化をより系統だったものにする。これにより、クラスが変わることでエフェクトの深度がどれくらい変わってくるのか予想しやすくする。また、それにより低クラスワームホールにおいてもボーナスの効果が実感しやすくなる
Black Hole
「スピーディーなワームホール」 というコンセプトは維持しつつ慣性ペナルティーを半減し、他のボーナスについては 「ハイスピードミサイル戦」 を主軸において再構成する。ミサイル速度、ミサイルの爆発速度、最大ターゲット範囲へのボーナスが得られ、ウェビファイアにはペナルティーが加わることで、ここでしか味わえないエキサイティングな戦闘環境をお届けする。
影響を受ける属性 | WH クラス | |||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
ミサイル飛行速度 | +15% | +22% | +29% | +36% | +43% | +50% |
ミサイル爆発速度 | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
船の速度 | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
ウェビファイアの効果 | -15% | -22% | -29% | -36% | -43% | -50% |
慣性 | +15% | +22% | +29% | +36% | +43% | +50% |
最大ターゲット範囲 | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
Magnetar
追跡速度 (※tracking) へのペナルティを調整し、PvP においてはこの効果をダメージの軽減に活用しやすくなるようにしつつ、PvE においてもバランスがとれたものとなるようにする。これを達成するにあたり、このワームホールにおけるターゲットペインターの効果量を引き下げる。そして、ミサイル関連のペナルティーについては、ミサイルの爆発半径へのペナルティーへと切り換えたことで、Magnetar 型ワームホールのエフェクトは、追跡速度計算式における 「シグネチャ半径」 に焦点をあてたものとなる (これは Black Hole 型において、プレイヤーがほぼ 「スピード」 を相手にしなければいけなくなるのと対照的だ)
影響を受ける属性 | WH クラス | |||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
ダメージ | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
ミサイルの爆発半径 | +15% | +22% | +29% | +36% | +43% | +50% |
ドローンのトラッキング | -15% | -22% | -29% | -36% | -43% | -50% |
最大ターゲット範囲 | -15% | -22% | -29% | -36% | -43% | -50% |
トラッキング | -15% | -22% | -29% | -36% | -43% | -50% |
TP 強度 | -15% | -22% | -29% | -36% | -43% | -50% |
Red Giant
基本的には現状に満足しているが、このタイプのワームホールのテーマをさらに追求し、新たにボムのダメージにボーナスを与えることにした。ワームホールにおいてはシグネチャ半径の小さめの船が多いことからボムはそれほど用いられていないが、ワームホールでステルス爆撃機 (※Stealth Bomber) を用いた戦術を試してみたいプレイヤーにとっては今回のボーナスは力となるはずだ。
影響を受ける属性 | WH クラス | |||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
熱ダメージ | +15% | +22% | +29% | +36% | +43% | +50% |
オーバーヒート ボーナス | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
スマートボム範囲 | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
スマートボムダメージ | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
ボムダメージ | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
Pulsar
これもかなりいい状態にあるエフェクトだが、このタイプのワームホールにおけるキャピタル船のシールド防御の強さには少々懸念を抱いている。キャパシタへのリチャージボーナスがあることがその最大の要因だ。キャパシタ戦兵器にボーナスを与えることで対抗策としてのその能力を高め、かつゲームプレイにバラエティをもたせたい。
影響を受ける属性 | WH クラス | |||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
シールド HP | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
アーマー レジスタンス | -15% | -22% | -29% | -36% | -43% | -50% |
キャパシタ リチャージ時間 | -15% | -22% | -29% | -36% | -43% | -50% |
シグネチャ半径 | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
NOS/ニュート 吸収量 | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
Wolf Rayet
Wolf Rayet 型における小型武器ボーナスは現状ではあまり活用されておらず、はるかに使いやすい Magnetar 型のボーナスの影に隠れてしまっている。また、僕らとしてはアーマーレジスタンスボーナスの強さ (特にキャピタルシップにおいて) にも懸念を抱いている。そこで対応策として、レジスタンスボーナスをただの HP ボーナスと入れ替え、小型武器ボーナスについては真にユニークな戦闘環境になったと言えるレベルにまで強化する。このフリゲート武器へのボーナスがあることで Wolf Rayet 型ワームホールにおける戦闘は EVE 全体から見ても非常に特徴をもったものとなるし、それでいて、小型船を用いたドクトリンはスキルポイント/ISK/SMA (※船舶調整施設) の面から見てもコーポへの負担は比較的小さいことから、あらゆるプレイヤー層にとって手の出しやすいものとなる。
影響を受ける属性 | WH クラス | |||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
アーマー HP | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
シールドレジスタンス | -15% | -22% | -29% | -36% | -43% | -50% |
小型兵器ダメージ | +60% | +88% | +116% | +144% | +172% | +200% |
シグネチャ半径 | -15% | -22% | -29% | -36% | -43% | -50% |
Cataclysmic Variable
このタイプにおいては、比較的小さめの船がワームホールエフェクトを活用しやすくしつつも、そのエフェクトによってスパイダータンキングを用いたキャリア (※艦載機母艦) が強くなりすぎてしまわないようにしたい。そこでキャパシタの回復所要時間へのペナルティーを半分にカット (よって Cataclysmic Variable 型における単位時間当たりのキャパシタ回復率は上昇する) する一方で、リモートキャパシタトランスミッターの効果には新たにペナルティーを課す。Tech 1 および Tech 2 の支援系クルーザー (※巡洋艦) のキャパシタ転送ボーナスの性質から、このペナルティーにより小型の船よりもキャリアのほうがはるかに大きな影響を受けることになる。
影響を受ける属性 | WH クラス | |||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
ローカルアーマーリペア量 | -15% | -22% | -29% | -36% | -43% | -50% |
ローカルシールドブースト量 | -15% | -22% | -29% | -36% | -43% | -50% |
シールド転送量 | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
リモートリペア量 | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
キャパシタ容量 | +30% | +44% | +58% | +72% | +86% | +100% |
キャパシタリチャージ時間 | +15% | +22% | +29% | +36% | +43% | +50% |
リモートキャパシタ転送量 | -15% | -22% | -29% | -36% | -43% | -50% |
C4 ワームホールに第二のスタティックを追加
現在 C4 ワームホールには特別な魅力がなく、データを見ても C4 におけるプレイヤーの活動量は少ない方に属する。一方、C2 ワームホールはきわめて健やかな状態を保っているが、これは C2 ワームホールの特徴である、デュアルスタティックコネクションに由来する。
Hyperion リリースでは C4 ワームホールに第二のスタティック穴 (至ワームホール宙域) を追加することで、C4 としての独自の特徴をもたせる。これにより C4 ワームホールは抜きんでて他のワームホールとの接続が良くなり、ワームホール宙域において多様な遠征を楽しみたいコーポにとっては素晴らしい選択肢となる。
質量や寿命の面では、新スタティック穴は既存のスタティック穴と同じ値をもち、接続先については既存の穴とは異なるクラスのワームホールに接続する。
ランダム穴のポップが増え、かつ新種の穴を追加
ワームホールにおける不安定さ、予測不可能性をより味わってもらうため、ワームホールにおけるランダム接続の発生数を大幅に増やすとともに、独自の特徴をもったまったく新しい種類の穴を追加する。
新種の穴は最大ジャンプ質量がきわめて低く、フリゲート、デストロイヤー (※駆逐艦)、マルチバブル HIC (※ワープ妨害型巡洋艦) でしか通過することはできない。また、きわめて高い安定質量を与えられており、時間の経過でその質量が回復する性質をもったはじめての穴となる。つまり、この穴を意図的に閉じるのは不可能に近く、穴はほぼ常に 16時間の寿命を全うすることになる。
この 「小型船穴」 はワームホールを起点としてしか発生せず、接続先はワームホール全種およびナルセク宙域となる。低クラスワームホールが高クラスワームホールからやってきたフリゲートによって蹂躙されてしまうことのないよう、両端 (最高域クラスから最低域クラスへの接続およびその逆) どうしの接続はいくぶん少なめになるようにしている。
ワームホールにおいて現状運用されているよりも軽めの船を使ってみたいと思っているプレイヤーや、高速 Wolfpack (※通例、多数のフリゲートまたはデストロイヤーにより構成され、機動力およびメンバー全員による統率の取れた電子戦制御を信条とする戦術) でナルセクにローミングに出かけたいと考えているプレイヤーにとって、今回の変更は朗報となるはず。また、自身のワームホールを外部との接続から完全に遮断してしまうことがこれまでより難しくなるため、これによりプレイヤー間の 「筋書きなき相互作用」 がワームホール環境を構成する一要素としてしっかりと存在するようにできるものと思う。
穴通過後のポップ位置が船の質量に応じて変化
この変更の狙いは、プレイヤーが自身の居住ワームホールを保全するにあたり、そのための作戦行動が常に他のプレイヤーによる妨害にあうリスクをもたせること。現状、CCP としては穴を閉じる作業が簡単過ぎる、安全すぎると感じている。ワームホールにおいては他のプレイヤーとの接触が最大の脅威かつ緊張感を生み出す源であるべきにもかかわらず、簡単にワームホールを閉じてしまえるせいで他のプレイヤーがワームホール内での住人の活動に関わり合う機会が失われてしまっている。
今回の提案の骨子は、船が穴を通過後、反対側にポップする際の穴からの距離を、船ごとの質量に応じて変化させようというもの。これによりワームホールでの戦闘における戦術面での幅の広がりをだすとともに、しっかりとしたサポート体制なしでの 「穴転がし」 に最低限のリスクが伴うようにしたい。
これにより 「レイジローリング (獲物を求めて意図的にスタティック穴を繰り返しつぶすこと)」 にかかる時間が増すことになるのは確かだが、適切な値を把握すればレイジローリングは引き続き実行可能なはずだし、ランダム穴が増えることで、レイジローリングにそれほど頼らなくても戦闘相手に出会えるようになるものと考える。
最も大型の船の場合で穴からの基本ポップ距離は 20km となり、そこに ±2km のランダム要素が加わる。穴を通過するには、穴から 5km 以内にいる必要があるのはこれまでと変わらない。
以下、一般的な船でのポップ距離の例をあげる :
船 | 質量 | 基本距離 | ジャンプ可能範囲までの距離 | |
Min | Max | |||
隠密行動型フリゲート | 1,280,000 | 5.5 km | 0 km | |
プレート付 T3 クルーザー | 14,300,000 | 0 km | ||
プレート付バールゴーン | 101,000,000 | |||
オルカ | 250,000,000 | |||
平均的なキャリア | 1,120,000,000 | |||
平均的な攻城艦 (DN) | 1,240,000,000 |
K162 シグネチャ出現時の挙動を変更
現行の K162 出現に関する仕様は、最初のプレイヤーが新たな穴に向けてワープを開始した瞬間にその反対側に K162 が出現し、反対側のプレイヤーはプローブやセンサーオーバーレイによってその存在を視認できるようになるというもの。反対側のプレイヤーは最初の侵入者がワームホールにジャンプインすらしないうちに初期警戒情報を得られてしまうため、これでは不公平だ。
よって Hyperion リリースでこれを変更し、K162 シグネチャが現れるタイミングを、最初のプレイヤーが穴を通過した時点としたい。これなら、不公平なほど情報が早くなりすぎてしまうことのないようにしつつ、油断のないプレイヤーであれば侵入者の存在を察知し、現実的な対応がとれるタイミングであると考える。
いったんプレイヤーが穴を通過すると、K162 シグネチャはその穴の寿命が尽きるまでスキャン可能な状態を維持する。スキャン可能な状態はダウンタイムを挟んでも継続する。
ブックマークコピーに関する制限の緩和
ブックマークのコピーはサーバー負荷が高いため、これまで一定の制限をかけていた。現状、ブックマークコピーを最も多用しているのはワームホール住人だが、彼らからこの制限を緩和できないかとの要望があがっていた。そして調査の結果、制限を緩めてももう問題がないことがわかった。
Hyperion リリース以降は一度にコピーできるブックマークの数が増え、またコピーが完了するまでにかかる時間もこれまでよりはるかに短くなる。今回の変更で問題がでないようであれば、今後さらに制限を緩めることも検討したい。
最後に
ワームホールへの改修作業を今回だけで終わりにするつもりはないし、CSM とも絶えず他の改善点を話し合っている。僕ら CCP や CSM メンバーに今後も要望を寄せてほしい。
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