「信用取引詐欺」 (Margin Trading scam)

「詐欺」 ネタが続きますが、今回の記事は 「適法」 な詐欺についてのお話です。

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公式フォーラムにいわゆる 「信用取引詐欺」 についての以下のようなコメントがありました。

公式フォーラム : プレイヤースレッド 『マーケットでの詐欺行為はゲーム仕様の不正利用だ (Market Scamming is an Exploit)』 #161 より

(2013.07.08 23:27 by CCP Falcon)

CCP としては信用取引 (※を用いた詐欺行為) をゲーム仕様の不正利用であるとは見ていないよ。

(※以下略)

このこと自体はすでに CCP 側からも何度もコメントされていることで、特に新情報だというわけではないのですが、せっかくですのでこの 「信用取引詐欺」 がどのようなものであるか、そしてだまされないためには何に気をつければいいかについて書いてみたいと思います。なお、私自身はこのスキルを登録してすらいないくらいで、本記事についてもフォーラムへの投稿記事などから得た 「又聞き」 のみにもとづいて書いている点はあらかじめご了承ください。訂正も歓迎いたします。


引っかからないためには?

だまされる側の視点で述べた場合、何に注意するべきかですが、

買い注文で 「最小数量」 が高く設定してあるものには気をつけろ

という点になると思います。


だます側の行動

(ご注意 : 私自身はこの手法を使ったことはありませんし、以下の手順は大まかな仕組みを説明するためだけに書いたものですので、「ガイド」 としては完全ではありません。大体の手順は以下のようなものになるとは思いますが、最善手ではないと思います。実際、私が見ただけでも危なっかしいポイントが存在しています。また本記事では触れませんが、追加の手順を踏んで予防措置を講じておかないと 「信用取引詐欺 "破り"」 をされる可能性もあります)

  1. マーケットでの売値をコントロールできるアイテムを見つける (できる限り取引量が少ないもの、人々のなじみの薄いものが望ましい。なんの役にも立たないようなアイテム (「~の DNA」 等) でもかまわない)
  2. 最終的な目的はそのアイテムを法外に高く売って利益を得ることなので、そのアイテムのうち、売却金額として設定予定の額よりも安く売られている (もしくはすべての) アイテムを買い占める
  3. そのアイテムの買い注文を高値で出す。買い取りの 「最小数量」 は買い占めたアイテム数に近いものに設定する。これが買い手に商品を買わせるためのベイト (釣り餌) となる
  4. 買い取りキャラのウォレット内の残金をすべて他に移し、ウォレット内を空にしておく
  5. 買い占めたアイテムを売りに出す。売値は仕入れ値より高く、かつ上記の買い注文より低い値段で出す。売り注文は小分けにし、 1件あたりの数量は買い注文の 「最小数量」 として設定した数よりも小さくする
  6. 商品が売れるのを待つ


だまされる側の行動

  1. マーケットで売値よりも買値の方が高い、見慣れないアイテムをたまたま発見する
  2. 試しに売られている商品を買い、買い注文に流してみようとするが 「最小数量」 が設定されているため売れない
  3. 「最小数量」 を満たすため、全財産 (?) を投入して商品を買いあさる。その際 「ちょっと転がすだけで 8b の儲けじゃん、うますぎwwwっうぇうぇええっ」 などと考える
  4. 必要な数量を手に入れ、あらためて買い注文に流そうと試みる
  5. 取引が成立しなかった旨のメッセージが表示され、その買い注文は消滅し、手元には大金をはたいて買った役立たずのアイテムが大量に残る
  6. キャラを削除し、EVE をやめる (?)


「信用取引」 スキルの機能

説明文には 『買い注文を入れる際のマーケットエスクローにかかる手数料率が下がる。レベル0(トレーニング開始前のスキルレベル)ではエスクローのパーセンテージは100%だが、スキルレベル上昇ごとに1つ前のレベルよりも25%低下する。つまりレベル5ではエスクロー総額は約24%まで下がる』 とあります。

通常、買い注文を出すにはそれに見合ったエスクロー (預託金) をマーケットに預ける必要があります。100m ISK 分の買い注文を出すには、100m ISK をマーケットに託す必要があるわけです。しかし 「信用取引」 スキルが上がれば上がるほど買い注文を出す際に必要とされるエスクローの額が少なくなります。スキルレベル 5 では全金額の 24% しか預ける必要がなくなります。残りの代金については、商品の買い取りが実行されるにしたがって指定の口座から順次自動的に差し引かれていくようになっています。つまり 「信用で ( = 手持ち資金の将来的な増加を見越して) 手持ちの資金よりも大きな買い注文を出せる」 スキルなわけです。

上記の詐欺師もこのスキルを上げていたのです。


喰われない 「釣り餌」

そしてここでポイントとなる仕様が、「信用取引」 スキルによって出された買い注文への売却が試みられた時点で、買い主の指定口座の ISK が不足していた場合は取引が成立せず、買い注文はその時点で消滅する、というものです。

詐欺師側は買い注文に大きな 「最小数量」 を設定し、一度の取引に必要な金額がエスクロー分よりも大きくなるよう計らったうえでウォレットを空にしていました。これにより売却が試みられてもその取引は資金不足のため必ず失敗し、買い注文は消滅するようになります。「最小数量」 が設定してあるわけですから、「エスクロー分だけでも買い取る」 ということにもなりません。おいしそうな 「釣り餌」 をたらしつつ、その 「釣り餌」 を喰われてしまうことはない、というわけです。

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前述のとおり、実は上記の手順だけでは 「釣り餌」 を喰われる可能性もあるのですが、本記事の目的は 「だまされないこと」 ですので 「信用取引詐欺 "破り"」 および 「信用取引詐欺破り "破り"」 については触れないでおきます。とにかく大事なのは、月並みですが 「うまい話には裏がある、特に EVE においては」 のを忘れないということでしょうか。

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