開発者ブログ : Tech 1 輸送艦の名称変更 (全文)

開発者ブログ : 『Tech 1 輸送艦の調整および名称変更 (Rebalancing and Renaming Industrials)』

(2013.07.16 16:20 CCP Rise)


やあ。CCP Rise だよ。僕は CCP では新参のほうだけど、ゲーム内では Kil2 というキャラクターで 6~7年間活動していたし、アライアンストーナメントのコメンテーター、ポッドキャストのホスト、Youtube への動画投稿なども行ってきているので、僕のことを知ってくれている人もいるかもしれないね (※開発者ブログに登場するのは初めてなので、一応自己紹介をしているようです)。ここ極寒の北の地に着いて以来、これまでのところで僕が一番大きく EVE の開発に貢献したのは BS (戦艦) の調整に関してだし、これは僕が中心となって行った。でも今日の話題は僕の最新プロジェクトについて、そう輸送艦の話だ!

まずは重要ポイントをまとめよう :

  • 輸送艦に大幅な調整が施され、多くの艦種が以前とはかなり違った性能になった
  • イタロン、イタロンマークII、イタロンマークIII、イタロンマークIV、バッジャーマークII の名称を変更する

「何を」 したかの話をする前に、「なぜ」 したのかについて少し話をさせてもらいたい。

みんなの中には 『おいおい CCP Rise、なんだって輸送艦の調整なんかにかまけているんだい? 輸送艦なんてそのままで問題ないよ。そんなことよりもファルコンを削除するとか (ある意味同意だけど)、もっと重要なことがいくらでもあるだろう?』 なんて思っている人もいるかもしれないから、説明させてほしい。CCP Ytterbium がこのブログで見事に詳細を述べているとおり、先日の Odyssey で船に乗るためのスキル要件が多数変更され、輸送艦の乗艦要件も大きく変わった。すべての輸送艦について、各種輸送艦スキルレベルの 1 しか要さなくなった (要件に 1 から 5 までの幅があるのではなくね) ことにより、輸送艦を選ぶにあたって存在していた従来のさまざまな基準は、『イタロンマークV に乗りさえすればいい』 という一点ですべて置き換えられてしまった。さらに、そもそも Odyssey 以前ですら存在意義のない輸送艦が多く存在していたという事実も合わさって、僕らは輸送艦の再調整を急務とするべきだと考えたんだ。

いざ始まった調整作業はなかなかの紆余曲折を経ることになった。ここですべて振り返ることはしないけど、フォーラムの Features and Ideas コーナーにある、最終バージョンに大きな影響を与えることになったこちらのバージョン 1 スレッド (※本ブログでも一部カバーしています) でその様子を確認してもらったり、バージョン 2 スレッド (※本ブログでも一部カバーしています) で実装予定事項の詳細を確認してもらうことをお勧めしたい! 開発側とコミュニティーとが連携し、ゲームにとってもっとも良い選択肢を選んでいくという観点からは、今回の成果は大きな成功とみなせるのではないかと僕は思っている。気がついたら僕は公式フォーラムだけでなく、Reddit にも投稿していたし、CSM (彼らはいつだって僕らを正しい方向に導いてくれている、本当にすばらしいよ) とも絶えず連絡をとり、Twitch.tv のストリームチャットで時を過ごし、朝の 4時に EVE Radio の DJ FunkyBacon と議論したりさえしていた。そしてそれらがあったからこそ、最終的に 『マンモス問題』 の解決、より個性豊かな一連の輸送艦の誕生、そして輸送艦というクラス全体がより面白いものに、という結果に結びついたのだと思う。

フォーラムのスレッドに目を通す気にならないという人のために、今回行われる調整のハイライトを :

  • 戦闘艦と同様に、輸送艦も tier (※ティア、階層) ではなく役割という観点から再調整が施される。
  • 各国家にカーゴ容量の大きさ (それも、イタロンマークV と同程度の) に特化した輸送艦がそれぞれ 1種類ずつ与えられる。
  • 各国家に移動時間の短縮と丈夫さに特化した輸送艦がそれぞれ 1種類ずつ与えられる。
  • 特殊ベイをもった輸送艦が実装される。
    • ホーダー (HODOR! (※特に意味はないと思います)) には 「弾薬」 グループに含まれるものなら何でも積むことのできるベイがつく。具体的には弾薬、ボム、ナノマシンリペアペイスト、キャップブースターなどを積める。
    • Kyros にはミネラル専用のベイがつく。
    • Epithal には PI 品専用のベイがつく。
    • Miasmos には小惑星鉱石、アイス鉱石、ガス専用のベイがつく。
  • 輸送艦一隻一隻が、他とは違ったなにかをもつよう努力した。それらは輸送所要時間最短 (ウレス)、カーゴ容量最大 (Tayra) から、ドローンベイ (Nereus) やミサイルランチャー (バッジャー、Tarya) にまで渡る。

さてようやく本題に入ろう。これは今回の調整でももっとも重要な要素の一つで、もう気づいている人もいると思うけど、名称の変更だ。僕らは船のラインナップをそろえていくうえで、段階的に性能が上がっていくという tier システムではなく、役割をベースとした方向、それぞれの船に個性があり、他とは違った何かをもたせるという方向にシフトしている。そうであれば、バッジャーやイタロン系列の船に順列的な名称がついているのはもはや実情にそぐわないと言える。実はフィードバックスレッドでもこの点についてたくさんのプレイヤーから指摘を受けてはいたんだけど、僕はその時点ではそれがゲームに及ぼす悪影響を理由として挙げ、変更はしないと答えていた。でも内部で引き続き議論を重ねるにつれて、これらの船の名称とその機能のあいだに齟齬がありすぎるという結論になったんだ。これら新名称をオーバービュー上で見慣れるまでのあいだは、成長痛とも言える多少の混乱はあるだろうけど、長期的にはよい結果をもたらしてくれるものと考えている。

CCP Abraxas が素晴らしい名称をつけてくれた。各名称の起源まで説明してくれたよ。お楽しみあれ (※私の知識不足により、以下の翻訳はかなり微妙です。またカタカナ表記は便宜的に勝手につけたものです):

「イタロン」 という名前そのものは、バクテリア細胞内にあらわれる、特定の反復性 DNA パターンのことだ。というわけで、器官、基礎物質、反復およびパターンをテーマとすることにした。

"イタロン" は "Nereus (※ネレウス、ネーレウス等)" へ

ネレウスはギリシャの海の神で、過去から多くを受け継ぎ、多くの兄弟の長兄で、自らの姿を変えることもできた。さまざまなバリエーションの元となるこの船にとっては理想的な名前だ。またドローンを持つ唯一の輸送艦だという点でもおさまりがいいんだ。なぜならネレウスは 50 の「ネレイド」、賢くて素早い海のニンフからなる軍隊、の父となる存在だったからだ。

"イタロンマークII" は "Kryos (※クリオス)" へ

この船はミネラル運搬用の船だ。そしてミネラルにとってのパターンや秩序を表す言葉は "crystal 結晶" だ。深くたどっていくと、ギリシャ語でのその語源は "Kruos" となる。"Kruos" では "Cruor" に酷似しすぎだ (ターゲットコールを混乱させてしまうわけにはいかない)。でもエジプトやビザンチンに伝わるにつれて、単語の発音は "Kryos" に近いものに変化していったようなんだ。というわけで "Kryos"。

"イタロンマークIII" は "Epithal (※エピサル、エパサル等)" へ

この船は種々の資源を扱うわけだけど、そのどれにも間違いなく要素としての 「命」 が感じられる。バクテリア (Bacteria)、タンパク質 (Proteins)、肥料 (Fertilizer)、生命体 (Livestock) などのまさに生物的なパーツだけでなく、誤った要素に晒された際に反応する性質をもつさまざまなコンパウンドについても、純粋に生物的な観点とは言えないまでも、 「命」 が感じられる。とうわけで、秩序を持った細胞、そして保護を必要としているものをテーマとしてみたい。細胞にとってのパターンや秩序を表す言葉は "tissue (組織)" だ。基本的な組織タイプの一つの中に "epithelium (上皮・皮膜細胞)" というものがある。epithelium の主要な役割はあらゆる手段を用いて内容物を外界から守り、安定を維持することだ。PI 指向の積載ベイを持つ船にとっては理想的なメタファーじゃないかな? 時代を少々さかのぼり、語源についていろいろと調べてみると、"Epithal" というバリエーションにたどり着くんだ。

"イタロンマークIV" は "Miasmos (※ミアズモス、マイアズモス等)" へ

この船は鉱石、つまりアイス、ミネラル、ガスを運ぶことになる。最初の二つについては Kryos でカバーできているように思うので、この船ではガスをテーマに考えてみることにした。"miasma" とはギリシャ神話上の気体をなした伝染病で、伝染病として言及されたものとしては最古のものの一つだ。僕らはガレンテ船にちょくちょく神話系の名前をつけてきているし、はまりがいいのではないかと思う。"Atreus" という候補もあって、こいつはいろいろとひどいことをして、伝染病を広めた張本人なんだけど (マジで、ちょっと調べてみて)、アトロンに酷似してしまっている。というわけで "Miasmos"。

"イタロンマークV" は変わらず

マークV については名前を変更しない。イタロンマークV は旧イタロン軍団の最高峰だったし、もっとも普及していた船だ。それに今回の調整でもほとんど変更が加わっていない。そういうわけで、船のもつストーリー的な面からも、仕様的な面からも、名前をそのままにしておくのが一番いいと思っている。

"バッジャーマークII" は "Tayra (※タイラ)" へ

バッジャー (アナグマ) は大型のイタチ科の動物だけど、イタチ科はスマトラカワウソからクズリまで含まれる。Tayra はアナグマ系のなかでもやや賢い系統のイタチなんだ。

これらが Tranquility サーバーに実装されるのは夏の終わり、Odyssey 1.1 でのことになる。みんながこれらの調整を喜んでくれるよう願っているよ!

それではまた宇宙で!

CCP Rise

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