開発者ブログ : プロービング + α

開発者ブログ 『プローブスキャニングとその他いろいろ : オデッセイでどう変わるのか (Probe Scanning and other Goodies for Odyssey)』

(0213.05.28 by CCP SoniClover)


やあみんな!

僕は開発チーム "Super Friends" の CCP SoniClover。6月 4日にリリースとなるオデッセイに向けて、僕のチームが関わってきた事項について今日はお話したいと思う。

今年の初めのことになるけど、僕らのチームは CCP Seagull の監督のもと、今回のテーマの策定作業に加わっていた。そしてそこで今回の拡張の軸となる 『探検』 というテーマが生み出されたんだ。"Super Friends" には現状のスキャニングシステムを見直し、『探検』 というテーマに沿ったものにするにはどうしたらいいかを考えるという使命が与えられた。


探検に関して僕らがベースとしたコンセプトは、ざっと述べると、EVE というゲームの中での探検の存在感を増し、コンテンツとしての探検のハードルを引き下げる、というものだ。たくさんのプレイヤーが探検に魅力を感じているにもかかわらずあまりにもわかりにくかったために、新規のプレイヤーにとってはすぐに飛びつける性質のものではなかったし、結果的に彼らはミッションや採掘など、もっととっつきやすいシステムを持ったコンテンツを最初の職業として選んでしまうことが多かった。僕らの目標は、ゲームを始めたばかりのプレイヤーにとっても探検がミッションや採掘と同様なレベルでとっつきやすいものになるようにするということだった。なんと言っても EVE の独特な雰囲気を味わってもらうには、ミッションや採掘よりも探検の方が適しているし。

言うは易しで、機能性の面でこれまでベテラン探検家・ワームホーラー・偵察要員の要求に応えてきたレベルを維持しながら上記の目標を達成するのは非常に困難だった。オデッセイでは探検のとっつきやすさと基本的なメカニクスまわりへの調整に集中したけど、これらは探検というコンテンツにおいて氷山の一角に過ぎないと思っている。でも今回の調整で、将来的に探検のメカニクスをより高い次元で拡張し、コンテンツにもっと深みを与えていくための地盤が固まったのではないかと思う。


プローブ関連

コンセプトの話が片付いたところで、このブログの 『実』 へと話を進めよう。オデッセイで実装される変更点だ。

まずプローブでのスキャニングがどう変わるのかだ。

  • ランチャーに装填されたプローブは、何個装填されているかにかかわらずすべて同時に射出される。同時に射出していられるプローブは最大で 8個だ。操作可能なプローブの数は天文位置測量 (Astrometrics) スキルの制限を受けなくなったため、すべてのプレイヤーがデフォルトでプローブを 8個使うことができる。
  • オデッセイでは 2種類のプリセットフォーメーションが用意されている。『散開型』 (広範囲をカバーできる配置) と 『ピンポイント型』 (プローブの感度を 1点に集中させた配置) だ。これらはビギナーが出発点として手堅く活用してもらえるよう用意されているもので、これらが最大効率を得られるフォーメーションだということではない。
  • プローブの実体は射出とともに船の周囲に現れるけど、ソーラーシステムマップ上では太陽を中心としたフォーメーションを組んだ状態で描画され、実際の位置とは異なっている。スキャンを開始してはじめてプローブは指定の場所までワープする。
  • 中心にある単一のハンドルですべてのプローブを同時に移動させる。シフトを押下することで各プローブに操作用のハンドルが現れ、オデッセイ前のデフォルトの挙動と同様に個別に操作できるようになる。また alt キーを押下することでプローブ同士を寄せることができる。
  • 一つのプローブの大きさを変更すると他のプローブの大きさも同様に変わる。シフトを押下しながら操作することで大きさを個別に変更できる。オデッセイ前とは逆の挙動である点に注意してほしい。プローブの大きさを変更してもそれまでのフォーメーションは保たれる (※寄せ直し等が必要ない)。またソーラーシステムマップ上の各種アイコンがプローブ操作の邪魔になりにくくなるよう改良した。
  • プローブの召還と時間切れに関する仕様を少し変更した。船がシステムジャンプを行ったりやステーションへ入港したりすると、瞬間的に召還が実行される。プローブには従来と同様にタイマーがあるけど、時間切れでプローブをロストするのではなく、プローブが自動的に召還されるようになった。召還される前に組んでいたフォーメーションはシステムが記憶しているので、ランチャーボタンを使ってプローブを射出することで素早くもとの配置を組み直せるようになった。もうプローブが宇宙に取り残されてしまうことはない!
  • 視覚方面では、スキャナーウィンドウに少々変更が加わる。基本的な点に磨きをかけるとともに、プローブにフォーメーションを組ませるためのボタンを追加した。フォーメーションはランチャーにプローブが 8個装填されている場合にのみ機能する。現状では 8個未満での使用はサポートしていない。



  • もっとも変わるのはスキャン結果の表示だ。シグネチャにロックオンするまでの過程が視覚的にはるかにわかりやすくなったのと同時に、今回のスキャンとその前回のスキャンとのあいだの信号強度の差もわかるようになった。これによりプレイヤーは目的のシグネチャにどれほど迫れているのかを今までよりもつかみやすくなった。
  • 前述のとおり、天文位置測量 (Astrometrics) スキルはプローブの操作可能数には関与しなくなったけど、このスキルによりプローブングにかかわるあらゆる要素にボーナスを得られるようになった (レベル上昇ごとにスキャン強度 +5%、スキャン偏差 -5%、スキャン時間 -5%)。それぞれの特化スキル (天文距離測定 (Astrometrics Rangefinding)、天文位置捕捉 (Astrometrics Acquisition)、天文位置測定 (Astrometrics Pinpointing)) によって得られるボーナスは逆に減少 (10% から 5%へ) した。また新規プレイヤーは天文位置測量のレベル 1 を習得した状態でゲームを開始するようになった。これは採掘でも同様だね。もともとこのスキルは探検キャリアエージェントによってプレイヤーに与えられていたわけだけど、初めからプレイヤーが習得してしまっていたほうがわかりやすいし、「探検に採掘と同じレベルのとっつきやすさを」 というコンセプトにも沿っていると思う。
  • スキャニングに影響を与える新たなモジュールを追加する。これらのモジュールは 「特化スキル」 と同様の要素 (スキャン強度、スキャン偏差、スキャン時間) に影響を与える。それぞれのモジュールには tech 1 版と tech 2 版があり、tech 1 版は BPO がマーケットにでるけど、tech 2 版は発明をとおして得るしかなく、その際に考古学サイトでしか見つからない材料が必要となる。
  • 深宇宙スキャナープローブ (Deep Space Probe 以下 DSP) を廃止した。オデッセイでスキャニングをめぐる環境 (プロービングだけに限らず、センサーオーバーレイの実装も含めて) が変わり、プレイヤーは艦船ではないオブジェクトについては、その星系にどんなものが存在しているのかについて、かなりの概観を得られるようになった。船を見つけ出すのは本来コンバットプローブの仕事であり、DSP が廃止されることであらためてコンバットプローブがそのための主力ツールとなるはずだ。また、他のさまざまな調整により船をプロービングでロックオンするまでの時間が短縮されることになるけど、DSP を廃止することでいくらかその傾向にブレーキをかけられると思う。つまり船をプロービングでロックオンするまでの時間は、全体としてはさほど以前と変わらないものの、状況次第でさまざまに変化するということだ。既存の DSP は対応するコンバットプローブに置き換えられる。
  • キャリアエージェントミッションおよびチュートリアルの内容はオデッセイに合わせてアップデートした。


名称関連

一部名前が変わるものがある。また供給方法が微妙に変わるものもある。

  • 一部の探検サイトの名称を変更した。(※日本語 UI での名称はわかりません)
    • レーダー (Radar) サイト → データ (Data) サイト
    • 磁気測定 (Magnetometric) サイト → レリック (Relic) サイト
    • 重力 (Gravimetric) サイト → 鉱石 (Ore) サイト
    • 光学 (Ladar) サイト → ガス (Gas) サイト
    • 不明 サイト → Combat サイトと Wormholes に細分化
  • 名称変更を行った最大の理由は、「レーダー」「光学」等の用語がゲーム内の他の分野ですでに使われており、無関係なもの同士が同じ名前を持っているのは混乱をまねく結果にしかならないからだ。
  • ハッキングおよび考古学モジュールの名前も変更した。
    • コードブレーカー → データアナライザー (Data Analyzer)
    • アナライザー → レリックアナライザー (Relic Analyzer)
  • これらの変更理由は、それぞれのモジュールとその用途との結びつきをはっきりさせ、混乱を避けるためだ (特にアナライザー)。
  • ディクリプターも名前を変更した。以前のディクリプターの名前は雰囲気はある名前だったものの、規則性のまったくないものだった。新しく採用した命名規則は直感的にわかりやすいものでありつつ、従来の雰囲気も多少は保っている。
  • 独立したコンテンツとしてのサルベージサイトは廃止した。オデッセイ以降はサルベージサイトは出現しなくなるし、特殊なサルベージ用コンテナもなくなる。
  • 開発チーム "Five-O" が取り組んでいる作業の一環として、鉱石サイト (もと重力サイト) をシグネチャからアノマリー (特異点) に変更した。つまり今後は鉱石サイトを発見するのにプローブは必要ないということだ。


戦利品関連

探検サイトで得られる戦利品に関し、何点か重要な変更事項がある。

  •  サルベージサイトが廃止されたぶんを補うために、考古学サイトからのサルベージ材ドロップを以前よりも増やした (もともと、サルベージサイトでしか得られないような特別なサルベージ材が存在していたわけではなかった)。
  • 今後は探検コンテナからの戦利品をすべて手に入れられるわけではなくなることから、その減益ぶんを補うために戦利品のドロップ量を増やした。これはドロップ確率の上昇、ドロップ量の増加、試行可能回数の上昇等を介して行った。ソロ探検家が戦利品により得られる利益は、オデッセイの前後で同等に収束するはずだ。
  • 探検をもう少し魅力的なものにするため、新たな戦利品を何点か追加した。
    • 3種類の新しいディクリプター : オデッセイ前と同等の戦利品ドロップ率をもつタイプが 1種のほか、残りの 2種 ("Optimized" の名称がついているもの) は従来よりもドロップ率が低い。
    • 超大型リグの tech 1 版と tech 2 版 : tech 1 版はマーケットで入手可能だ。tech 2 版 BPC は探検サイトで手に入れるか、発明をとおして得られる。
    • ファクション POS 施設の BPC、両バージョン用 (例 : Blood と Dark Blood) が探検サイトでドロップするようになった。ただしドロップ率はとてもとても低い。


マーケット関連

目的のアイテムを見つけやすくするために、マーケットのグループに多少変更を加えた。

  • マーケットでのディクリプターの位置が以前と比べてもう少し 「まとも」 になった。「研究と発明 (Research & Invention)」 > 「試作品とデータファイル (Prototypes & Datafiles)」 > 各ファクションで区分けされたセクションから、各国家ごとの区分に変更され、グループ名は "Prototypes and Decryptors" となった。
  • 艦船装備 (Ship Equipment) 以下に新たなカテゴリが 2種類追加される。"Scanning Equipment" と "Harvest Equipment" だ。
    • "Scanning Equipment" グループにはシップ/カーゴ/調査 (Survey) スキャナーとともにハッキング (Data Analyzer) と考古学 (Relic Analyzer) 用のモジュールが含まれる。プローブランチャーもこのグループに含まれる。調査プローブランチャー (survey probe launcher) については独自のサブグループが新設された。
    • "Harvest Equipment" グループには種々の採集系装備 (レーザー、アイス、ガス、その他) とともにサルベージャーや採掘強化 (mining upgrades) モジュールが含まれる。


POS 関連

以上の探検関連の作業の他に、開発チーム "Super Friends" では POS 関連の調整も何点か行った。

  • 個人用ハンガー施設 (Personal Hangar Array) の追加。これはコーポハンガー施設 (Corporate Hangar Array) に似ているけど、名前が示しているとおり個人のアイテムの保管専用だ。個人用ハンガー施設の収容上限は 50,000 だ。
  • POS のモジュールを設置する際に出る矢印とカメラを調整し、もう少し使いやすくした。


将来的にやっていきたいこと

オデッセイには含めることができなかった事項が何点かある。オデッセイ 1.1 以降でこれらを実装していければと思っているけど、確かなことは言えない状態だ。なかでもここで関連が深いのは以下の事項だ。

  • プローブのカスタムフォーメーション : オデッセイで使えるプリセットフォーメーションは非常に基本的なセットアップのものだ。今後これを拡張し、プローブの数まで含めたプレイヤー独自のフォーメーションを保存できるようにしたい。
  • スキャンヒストリー : スキャン結果を表示するリストのカラーバーによって対象のそれぞれの信号強度が、前回のスキャンに比べて強くなったのか弱くなったのかがわかるようになったけど、これをさらに発展させて、以前のスキャン結果に 「戻る」 を実装したいと思っている。
  • 視覚情報の強化 : 設定したプローブのスキャンレンジにおいて、対象に対して得られる信号強度が最大に達した際に、スキャン結果リスト上でそれがはっきりとわかるようにしたい。

開発チーム "Super Friends" からは以上だ。これらの変更事項を楽しんでもらえることを願っているよ。よい夏を!

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